
2025/05/20 #顎顔面矯正について
矯正治療には、実は 2つのステージ が存在します。
骨格を整えるⅠ期治療と、歯列を整えるⅡ期治療。
「いつ始めるか」で治療内容も負担も大きく変わるため、適切な時期を知ることが 将来の健康と美しい笑顔への近道です。
本コラムでは、それぞれの治療が担う役割と目的をわかりやすく解説します。
目次
こどもの矯正治療は、大きく分けて 「Ⅰ期治療」 と 「Ⅱ期治療」 の2段階で考えられています。
Ⅰ期治療は、乳歯列または 混合歯列期(乳歯と永久歯が混在している時期)に行う治療です。
歯が生えそろう土台=顎の骨の成長をコントロールし、 必要に応じて拡大することで 永久歯が正しく並ぶスペースを確保します。
いわば「不正咬合を予防」するための根本的治療といえるでしょう。
Ⅱ期治療は、歯にワイヤーとブラケットを装着して 歯を動かす、一般的にイメージされる矯正治療です。
通常はすべての歯が永久歯に生え変わってから開始し、 歯列を整えていきます。
Ⅰ期が骨格矯正なら、Ⅱ期は歯列矯正―― 対症療法的な側面が強い治療です。(開始目安:中学生頃まで)
要するに 「Ⅰ期治療は骨格の矯正」「Ⅱ期治療は歯列の矯正」 と区別できます。
Ⅰ期をしっかり行うことで、Ⅱ期治療が不要になったり、 健康な永久歯の抜歯回避につながる可能性が高まります。
Ⅰ期治療では “ハイラックス” “ファン” “バラエティ” など、 上顎骨急速拡大装置(RME) を使用します。
これにより、上顎骨(鼻上顎複合体)の成長を適切にコントロールし、 健康的な発育を促して歯が並ぶスペースを作ります。
装置はお子さま一人ひとりの状態に合わせて選定され、 永久歯への生え変わりを正常に導くための鍵となります。
顎の骨の成長を促進・抑制できるのは、 骨が成長途中で柔らかい時期だけ。
受け口の場合は上顎の成長を促しつつ 下顎の成長を抑えるなど、 顔立ち全体を審美的にも改善できます。
Ⅱ期治療の目的は、ブラケットとワイヤーを用いて 弱い力で歯を動かし、 整った歯列に仕上げることです。
1〜2か月ごとにワイヤーを交換しながら調整を行います。
ブラケットとワイヤーを外した直後の歯は非常に不安定で、 元の位置へ戻ろうとする力が働きます。
これを防ぐために リテーナー(保定装置)を一定期間使用し、 移動した歯列を骨と組織が受け入れるまで固定します。
混合歯列期は、顎の骨が成長途中で柔らかいため、 歯を単に動かすのではなく、発育不足の顎自体を正常化できます。
Ⅰ期治療の開始が早いほど治療は容易になり、 Ⅱ期治療が不要になるケースや、 治療費を抑えられるメリットも期待できます。
迷ったら早めに専門医へご相談ください。